乾燥した大陸について。
染布をはぎ合せて作るタイプのもの、特に展開図が四角いものを作るときそれぞれの作品ごとに自分の中に浮かんでいる風景がある。
ある時期のある季節の、ある場所。
なのでこっそりと、それらのシリーズには名前がついている。
でも誰にも聞かれないので誰にも言ったことがない。
先日のウッディフェアの足を運んで下さったお客様に、そのあと
「あの乾燥した大陸のような感じのキーケース、まだありますか?」
というお問い合わせを頂いた。
なんだって。
乾 燥 し た 大 陸、って!
思い浮かべてみると、
ああ、あったかもしれない、そんな感じのものが。
結果、もうその品は手元にはなかったのだけど、私はそのフレーズがとても好きになった。
特に、渇いたとかじゃなくて、「乾燥」ってとこが。センチメンタルでなくていい。
私が名前を伝えずに手渡したもの達には、そんな風に名前をつけてくれてるお客さんが他にもいるのかもしれない。それはとても素敵なことだ。想像すると面白い。
そんなわけで、結局今回も、作品の名前は誰にも聞かれないし言わなかった。
そしてこれからもきっとずっとこんな感じで行くんだと思う。
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